リュディエ通信 Vol.18

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

━━━ ☆ ━━━━━ ☆ ━━━━━ ☆ ━━━━━ ☆ ━━━━━ ☆ ━━━
YAカレント同好会 リュディエ通信 Vol.18
2020/5/25発行
━━━ ☆ ━━━━━ ☆ ━━━━━ ☆ ━━━━━ ☆ ━━━━━ ☆ ━━━

こんにちは。YAカレント同好会です。

YAカレント同好会が運営するメールマガジン「リュディエ通信」。

毎月25日にYAカレント同好会会員の皆さまに、
“ヤングアダルト”にまつわるお役立ち情報をお届けしています。
新型コロナウイルス感染拡大防止による
外出自粛期間中に学び直しを
しているという大人も少なくないようです。

その内容は、語学をはじめ、子どもと一緒に数学や歴史を学んだり
動画投稿、料理やお菓子作り、楽器などさまざま。
“学び直し”が注目されている今、
図書館でイベントやセミナーを企画される際に
取り上げてみてはどうでしょうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・目次・・・・・・・・・・・・・・・
[1] ライトノベルAtoZ 第八回「ライトノベル流行り廃り―青春編」
[2] 名作ライトノベル紹介
[3]『子どもに健康の習慣を教えるための絵本・紙芝居870作品』
   無料公開のお知らせ
[4] 第一回リュディエ動画セミナー、YouTubeにて公開中!
[5] 読者アンケート ※抽選で3名様にDBジャパンの索引をプレゼント!
[6] DBジャパン新刊information
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

[1] ライトノベルAtoZ 第八回「ライトノベル流行り廃り―青春編」

ライトノベルは主に若者向けのエンターテインメントです。
これはどういうことかというと、メインターゲットが数年ごとに入れ替わる、
ということです。そうでなくとも若者の心は移り変わりやすいものですから、
自然と流行り廃りというものが生まれます。

この流行りというのは大変に難しいもので、
ものすごく流行ってさっと廃れるものがあったかと思えば、
廃れたと見えて実は根強く残るものもあります。
流行り廃りを繰り返すものもあれば、
底流に流れる王道として存在し続けるものもあります。
今回はそんなライトノベルの流行りの中から、
青春ものにまつわる話をご紹介しましょう。

青春―すなわち思春期の若者たち特有の人間模様や、
彼らの喜び、悲しみ、迷い、憤り、楽しみを描くのは、
若者向けエンターテインメントの大定番です。
ただ、初期ライトノベルでは異世界ファンタジーが大流行りしていたこともあって、
青春ものは幾つか名作はありつつ全体ではあまり目立ちませんでした。

やがて90年代になると『ブギーポップ』シリーズの大ヒットを受けて、
現代日本を舞台に若者たちの心理、青春の悩みや喜びに光を当てた作品が
ぐっと増えるのですが……実はこの時代の特徴として、青春ものだったり、
あるいはその近似的物語パターンである恋愛もの、
ラブコメものであったりしても、必ずといっていいほどファンタジックだったり
SF的だったりする要素が盛り込まれる、ということがあったようなのです。

能力者どうしのバトル、もしくは異世界や異星からやってきた不思議な存在、
この世界に実は昔から存在していた妖怪との出会いなどなど、
現実離れした物語とミックスされる形で青春ものが描かれました。
これは当時のライトノベル作家にとって不文律のようなものだった、と言われています。

物語に派手さを与えるためだったのではないかとも考えられますが、
実際のところどこまでその必要性が信じられていたかはわかりません。
この流行りが変わってくるのは、ゼロ年代の半ば頃です。
『乃木坂春香の秘密』『半分の月がのぼる空』など、ファンタジックな要素が
登場しないラブコメもの、青春ものが人気を博すようになったのです。

以後もこの傾向は続き、『青春豚ヤロウ』シリーズのような
ファンタジックな要素を絡めた青春ものと同じように、あるいは
それ以上にファンタジック要素のない青春ものが数多くヒットしています。

この変化について私は、ファンタジックな要素がなくとも
個性的なキャラクターを登場させ、活躍させることができれば、
十分に読者を惹きつけることに作家側が気づいたからではないか、
と考えているのですが、いかがでしょう。
ぜひ皆さんも実際に読んで、確認してみませんか。

(執筆:榎本事務所 榎本海月様)

[2] 名作ライトノベル紹介

○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○
第八回 竹宮ゆゆこ『とらドラ!』(電撃文庫)
○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○o。.。o○

物語の主人公は高須竜児。彼は普通の高校生とはちょっと言い難い存在です。
水商売の母と2人で暮らしているというのもそうですが、非常に目付きが
悪いせいで不良でもないのに周囲から距離を置かれてしまっているのです。

そして、懸念がもうひとつ。進級を機に前から気になっている
櫛枝実乃梨とお近づきになろうとしたところ、邪魔をしてくるやつがいるのです。
「手乗りタイガー」こと逢坂大河……彼女は実乃梨の親友で、黙っていれば
非常に可愛らしいが口を開けば超凶暴、ということでそんなあだ名が付いていました。

竜児が実乃梨に近づけば大河が牙を向くのは当然のことで、
しばらくやり合いが続くのですが、ひょんなことから2人は手を組むことになります。
どうしてかといえば、大河が竜児の親友、北村祐作を好きだとわかったからです。
こうして互いの恋を手助けすることになったのですが
むしろ当人たち2人の距離が接近して……。

あらすじだけ読むとベタベタのラブコメ、という印象を受ける方も多いと思います。
実際、少女漫画的ラブコメの要素も非常に強い作品なのですが、
けっしてそれだけでは終わらないのがこの作品のキモです。
竜児が家庭環境に問題を抱えているのは冒頭でちょっと触れましたが、
実は大河も同じで、父親との関係が非常によろしくありません。

また、この2人以外にも、作中に登場するキャラクターたちは
それぞれにいかにも青春的な、読者にとって非常に身近で
身につまされるような問題を抱えています。

それらの青春的テーマから目をそらさず、しっかりと
向かい合ってくれるのが『とらドラ!』という作品の魅力です。
彼らの振る舞いはときに若者的な愚かさに満ちています。
これに対する大人たちの言動だって、けっして立派とは
いえないものがしばしば見られます。
しかし、現実も実際そんなもので、その中でぶつかり合い、
どうにか成長していく以外にほかはない―そのことを教えてくれるのが
『とらドラ!』なのです。

(執筆:榎本事務所 榎本海月様)

[3] 『子どもに健康の習慣を教えるための絵本・紙芝居870作品』
   無料公開のお知らせ

新型コロナウイルス感染症が世界中で蔓延し、日本でも
深刻な事態となりましたが、比較的感染率・発症率・致死率が
低いと言われています。その理由の一つが
日本人の「手洗い・うがい」習慣です。
感染拡大はやや緩和されてきましたが、引き続き、手洗いやうがい、
十分な睡眠、バランスよい食事など健康づくりのために
不可欠な生活習慣を維持していきたいところです。

さて、3月に配信したリュディエ通信では、健康に良い影響を与える
「てあらい・うがい」がテーマになった絵本・紙芝居を
いくつかご紹介いたしました。
他の出版社さんではドリルや参考書などを無料公開したり、マンガを無料配信するなど
休校になったお子さんの支援をされています。弊社は残念ながらドリルやマンガは
出版していませんが、皆さんのお役に立てることをしたいと考え、今回
『子どもに健康の習慣を教えるための絵本・紙芝居870作品』の
リストを無料公開するプロジェクトを立ち上げました!

弊社が先に刊行した索引群
「テーマ・ジャンルからさがす乳幼児絵本」
「テーマ・ジャンルからさがす物語・お話絵本1」
「テーマ・ジャンルからさがす物語・お話絵本2」
「テーマ・ジャンルからさがす物語・お話絵本 2011-2013」
「テーマ・ジャンルからさがす物語・お話・乳幼児絵本 2014」
「テーマ・ジャンルからさがす物語・お話・乳幼児絵本 2015」
「テーマ・ジャンルからさがす物語・お話・乳幼児絵本 2016」
「テーマ・ジャンルからさがす紙芝居1952-1990」
「テーマ・ジャンルからさがす紙芝居1991-2015」より、
「てあらい・はみがき・うがい」をはじめ、「たべもののすききらい」
「おやすみ・ねむり」など健康づくりに重要なテーマを抽出した
絵本と紙芝居のリストを製作し、無料ダウンロードを実施いたします。

是非、このリストを参考にしていただき、健康づくりに
お役立ていただけるだけでなく、レファレンスやテーマ展示、
新たな作品との出会いになることを願っています。

▼▼▼リストは、以下よりダウンロードができます!

『子どもに健康の習慣を教えるための絵本・紙芝居870作品』を無料公開中です

※採録対象となっている作品
・1953年〜2016年に国内で刊行された絵本
・1952年〜2015年に国内で刊行された紙芝居

[4] 第一回リュディエ動画セミナー、YouTubeにて公開中!
緊急事態宣言により、4月に予定していた集合型セミナーを
中止いたしました。今回より何度かに分けて、
YouTubeにて動画セミナーを公開させていただきます!

第一回の動画セミナーは、「児童文学がわかる! レファレンス
索引づくりからみえた作品トレンド」。

弊社社長の三膳が
「テーマ・ジャンルからさがす児童文学」シリーズの索引づくりで集めた
2014~2017年刊行の児童文学4,585作品のデータを元に、
児童文学のトレンドをご紹介いたします。

上位50作品のテーマランキングをはじめ、
具体的にどのような内容の作品が多いのか、
どの土地が多く作品の舞台になっているのかなどが
わかる内容となっています。

URLはコチラ▼▼▼

今後の動画セミナーのご案内は、公開したタイミングで
リュディエ通信をご購読の皆様にメールにてご案内させていただきます。

是非、ご視聴ください!

[5] 読者アンケート
アンケートにご協力いただきました方の中から、
抽選で3名様にDBジャパンの既刊索引を1冊プレゼント!
※当選された方には、メールでご連絡いたしますので、
その際に送り先のご住所をお知らせください。

Q1 “ヤングアダルト”層にオススメ(もしくは実際に読まれている)の
書籍を教えてください。

Q2 ヤングアダルトサービスの選書作業で
お困りのことをご記入ください。

Q3 ヤングアダルトサービスの選書作業で
工夫していることをご記入ください。

Q4 セミナーで講演を聞いてみたい方がいたら教えてください。
下記、応募フォームよりご応募ください。

▼▼▼
https://ya-current.com/magazine18inquery/

※6月22日(月)までを締め切りとさせていただきます。

[6] DBジャパン新刊information
~新刊案内~
『いぬの絵本いっぱい!』
A5・164頁 定価(本体2,300円+税)
978-4-86140-084-1
2020年5月発行

1953~2015年に刊行された絵本に出てくる1,184匹の
いぬのプロフィールが一覧になったいぬ名索引が登場!
ある特定のいぬが登場する絵本を知りたい
物語やお話の名前は忘れたが「キッパー」や「ころわん」という
いぬが登場する絵本をもう一度読みたい
いぬが登場する絵本ならどれでも、なんでも読みたい…
いぬ好きや絵本ファンの要求に応える絵本の索引です。

『テーマ・ジャンルからさがす児童文学2014』
A5・502頁 定価(本体22,000円+税)
978-4-86140-086-5
2020年4月発行
「テーマ・ジャンルからさがす」児童文学シリーズの新刊!
テーマ展示やレファレンスなど、用途に合わせて
児童文学が選べる図書館レファレンスツール!

『テーマ・ジャンルからさがすライトノベル・ライト文芸2016.1-2016.6 (1)
ストーリー / 乗り物 / 自然・環境 / 場所・建物・施設 / 学校・学園・学生 /
文化・芸能・スポーツ / 暮らし・生活 / ご当地もの』
A5・320頁 定価(本体22,000円+税)
ISBN: 978-4-86140-080-3
2020年4月刊行

『テーマ・ジャンルからさがすライトノベル・ライト文芸2016.1-2016.6 (2)
キャラクター・立場/職業/人間関係/アイテム・能力/作品情報』
A5・484頁 定価(本体22,000円+税)
ISBN: 978-4-86140-081-0
2020年4月刊行

「テーマ・ジャンルからさがす」ライトノベル・ライト文芸シリーズの新刊!
選書やレファレンス、ブックトークなど用途に合わせて
ライトノベル・ライト文芸が選べる図書館レファレンスツール!

その他書籍情報はコチラから▼▼▼
http://www.db-japan.co.jp/info-cat/syoseki/

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

YAカレント同好会のDBジャパン

DBジャパンが提唱するYAカレントとは、
その時期に、中学生・高校生によく読まれている
ポピュラーなYA書籍群を指します。

https://ya-current.com/

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
「リュディエ通信」次回は2020年6月25日(木)に配信予定です。

::::::::::::::::::::::::::::::::::

配信停止をご希望の方は以下よりお手続きをお願いいたします。

◇「YAカレント同好会」配信停止手続き
https://w.bme.jp/bm/p/f/tf.php?id=dbjapan&task=cancel

その他ご要望に関しては以下のお問い合わせフォームより
ご連絡ください。
https://ya-current.com/contact/

発行元:YAカレント同好会(株式会社DBジャパン)
「リュディエ通信」編集部

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る