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YAカレント同好会 リュディエ通信 Vol.54
2023/5/25発行
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こんにちは。YAカレント同好会です。

YAカレント同好会が運営するメールマガジン「リュディエ通信」。

毎月25日に、鮮度の高い“ヤングアダルト”の情報を
YAカレント同好会会員の皆様にお届けしています!

6月に入ると夏休みももう間近。
行動制限のない久しぶりの夏休みということもあり
アウトドアの遊びの計画を立てる人も多そうです。

旅行やキャンプ、ハイキング、イベントなど
屋外活動に関連する書籍を展示してみるのも良さそうですね。

・・・・・・・・・・・・・・目次・・・・・・・・・・・・・・
[1] ライトノベルAtoZ 第26回「ライトノベルとセカイ系」
[2] 名作ライトノベル紹介
[3] コラム「ぬくぬく学校図書館生活」第8回
[4] 読者アンケート ※抽選で3名様にDBジャパンの索引をプレゼント!
[5] 司書トレ新着information
[6] DBジャパン新刊information
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[1] ライトノベルAtoZ 第26回「ライトノベルとセカイ系」

ゼロ年代に流行し、現在は言及されることこそ減ったものの、
手法として定着したように思われるエンタメのジャンル・パターンとして、
「セカイ系」があります。もちろんライトノベルでも、
ある時期セカイ系的な作品が多いに刊行されました。

その定義は非常に揺らいでいるのですが、一般的な理解としては
「主人公とヒロインの関係性が、世界の危機のような
大規模なものに直結する(地域や国家、組織など、
社会的な要素があまり描写されない)物語」
というものである、と考えて良いでしょう。
このパターンの魅力としては、余計なことを書かないで済むことにより
物語のテーマに注力することができる、という点があります。

つまり社会的な物事を書こうとすると複雑になりがちなところを、
「結局のところは主人公が少女の心を動かせるかどうか」
の話にすることで、物語をシンプルに、
そしてよりドラマチックにしやすくなる、というわけです。

例えばライトノベルではしばしば
「親の片方あるいは両方がなんらかの事情で不在である」
という設定が出てきます。
こうすることで主人公は比較的自由に行動することができて、
ある日突然飛び込んできた謎の美少女と同棲することも可能になる、
というわけです(片親がいる場合には隠す必要がありますが、
両親がいるよりは隠しやすくなるでしょう)。

「セカイ系」の有名どころの作品としては
アニメ『エヴァンゲリオン』シリーズがあります――というよりは、
当初、「セカイ系」とは「エヴァンゲリオンのような、
一人語りが激しい作品」の意味として用いられたようです。

その後、主にインターネット上などで語られるうちに定義が変質し、
前述したような定義が一般に語られるようになりました。
ライトノベルでもセカイ系的と見做される作品は数多くあり、
『イリヤの空、UFOの夏』や
『涼宮ハルヒ』シリーズなどが代表例です。

(執筆:榎本事務所 榎本海月様)

[2] 名作ライトノベル紹介

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第26回 鴨志田一『青春ブタ野郎』シリーズ 
(電撃文庫)
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シリーズの第1巻
『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』は
このような展開から始まる。

高校二年生の梓川咲太が学校の図書館で目撃したもの。
それはバニーガール姿の美少女だった。
存在そのものも奇妙だったが、より異常だったのは、
咲太以外の誰も彼女の存在に気付く様子がなかったことだ――。

このバニーガール姿の美少女は桜島麻衣という女子高生で、
咲太の先輩(すなわち「バニーガール先輩」)にあたり、
しかも有名な女優でもあった。

そんな彼女が先のような状況になったのは、
都市伝説的に語られる思春期症候群(思春期に起きる不思議な現象)の一種、
「空気として振る舞ってきたがゆえに本当にみんなに見えなくなる」
現象のせいであると考えられた。
咲太は彼女のために何ができるのだろうか?

本シリーズはこの連載の中で紹介してきた作品の中では
ちょっと珍しめの、現在も刊行が続く人気シリーズです。
「名作紹介」と題した通り、比較的古めの作品を多めに
紹介してきましたが、今回はぜひこのシリーズを紹介したく思い、
ちょっと例外の選択をしてみました。

それは、ライトノベルAtoZで扱ったテーマからの繋がりで、
本シリーズがゼロ年代以降も生き残った“セカイ系的”作品だと感じるからです。
セカイ系はゼロ年代に盛り上がり、
以後はあまり目立たなくなったように言われがちですが、
実際にはその要素を感じる作品は今もあって、
『青春ブタ野郎』シリーズはその中の一つと言えます。

例えば、作品の中心的な要素である思春期症候群は
思春期の安定しない心情・感情から生まれ、
周囲にまで影響をもたらします(麻衣の存在に誰も気づかなかったように!)。
これはセカイ系的なストーリー展開そのものであることに
皆さんならわかっていただけるでしょう。

また、この物語の大きな転換点として、
「主人公が社会に対して勇気を出す」というイベントが設定されています。
これは単に閉じたセカイの中での物語というだけではなく、
より先に進んだ形のセカイ系なのではないかと思い、
これはぜひ紹介したいと感じて今回取り扱いました。

(執筆:榎本事務所 榎本海月様)

[3] コラム「ぬくぬく学校図書館生活」第8回

こんにちは。都内の学校図書館で働いている司書です。
本コラムでは、私が勤めている学校図書館での
日常の出来事を綴っています。

4月と5月、国語の授業の合間を縫って、
中学生たちが図書館のオリエンテーションを受けに来てくれて
日本十進分類法の復習とブックトークをしました。

久しぶりに来館したという生徒や、入学・転入をしたばかりで
初めてこの学校の図書館へ来たという生徒もいて、
なんだかみんなワクワクとした様子。

勉強や部活動で忙しく、
図書館から足が遠のいてしまう中学生たち。
まず、最初の一冊を借りてもらうことが大切です!

本好きな子には読みごたえのある一冊、
漫画好きな子には4コマ漫画付きのエッセイ、
文字をたくさん読むのが苦手な子に向けては
少し大人っぽい写真が入った図鑑など、
自分の通う学校図書館にどのような本があるかを
知ってもらうために、手を替え、品を替えて紹介。
それは映画館で予告を観ていると、興味のある映画が
次々に見つかるのと似ているなと思います。

そして、図書館が心安らげる場所であるように
自分が気になったことや、わからないことは
いつでも調べに来てねと、
生徒たちへの声かけも心掛けています。

[4] 読者アンケート

アンケートにご協力いただきました方の中から、
抽選で3名様にDBジャパンの既刊索引を1冊プレゼント!
※当選された方には、メールでご連絡いたしますので、
その際に送り先のご住所をお知らせください。

Q1 “ヤングアダルト”層にオススメ(もしくは実際に読まれている)の
書籍を教えてください。

Q2 選書の際に参考にしているメディア(情報サイト、情報誌、書籍)
などがあれば教えてください。

Q3 利用者向けの図書館イベントで工夫していることが
あれば教えてください。

Q4 ご自身のお仕事に関連することで「スキルアップ」したいことが
あれば教えてください。

以下、応募フォームよりご応募ください。

▼▼▼

リュディエ通信vol.54 アンケート


※6月18日(日)までを締め切りとさせていただきます。

[5] 司書トレ新着information

「開かれた図書館への転換」(公共図書館)を新たに追加しました!
 
★「開かれた図書館への転換」内容紹介
1960~70年代の公共図書館が「開かれた図書館」に転換する流れを
理解するために重要な要素や知識について説明する。
豊富な資料を紹介しており、さらに加えてレファレンス動画
『開かれた図書館への転換~資料編~』にてその資料を解説する。

開かれた図書館への転換 塩見 昇

[6] DBジャパン新刊information

~新刊案内~

『テーマ・ジャンルからさがす学習支援本2015①
社会・生活・暮らし/状況・行動・現象/科学・化学/自然・環境/
星・宇宙・地球/生物/動物/恐竜・絶滅生物・古生物・古代生物/
情報・通信・メディア/物質・物体・資源』
A5・368頁 定価25,300円(本体23,000円+税10%)
ISBN: 978-4-86140-368-2
2023年5月刊行

『テーマ・ジャンルからさがす学習支援本2015②
産業・技術/立場・職業/歴史上の人物・著名人/歴史/道具・装置・機械/
交通・乗りもの/年代・時代/文化・芸能・スポーツ/
場所・建物・施設・設備/学問・理論/地域情報/作品情報』
A5・398頁 定価25,300円(本体23,000円+税10%)
ISBN: 978-4-86140-369-9
2023年5月刊行

子どもの学習に役立つ本を探せると好評!
2015年に刊行された学習支援本2,049冊をテーマ・ジャンル別に収録。
調べ学習支援や自由研究のテーマ決め、知的好奇心を育む本など
幅広い分野の学習支援本が選べるレファレンスツールです。

その他書籍情報はコチラから▼▼▼
https://www.db-japan.co.jp/books/

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YAカレント同好会のDBジャパン

DBジャパンが提唱するYAカレントとは、
その時期に、中学生・高校生によく読まれている
ポピュラーなYA書籍群を指します。

YAカレント同好会のウェブサイトへようこそ!

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最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
「リュディエ通信」次回は2023年6月25日(土)に配信予定です。

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発行元:YAカレント同好会(株式会社DBジャパン)
「リュディエ通信」編集部