2019年 5月 の投稿一覧

リュディエ通信 Vol.6

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YAカレント同好会 リュディエ通信 Vol.6
2019/5/25発行

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こんにちは。YAカレント同好会です。

YAカレント同好会が運営するメールマガジン「リュディエ通信」。

毎月25日にYAカレント同好会会員の皆さまに、
“ヤングアダルト”にまつわるお役立ち情報をお届けしています。

5/20(月)に、日本図書館協会 元事務局長 松岡要氏をお招きし、
第一回リュディエセミナーを開催いたしました。

ご出席頂いた方より、「図書館の現状を踏まえた講演内容で、
ぜひ多くの方に聴いてほしいと思った」というご感想もいただきました。

次月号では、第一回リュディエセミナーの開催ご報告のレポートを
送らせていただきます。ぜひ楽しみにお待ちいただければ幸いです!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・目次・・・・・・・・・・・・・・・
[1] ライトノベルAtoZ 第二回「ライトノベルってワンパターン?」
[2] 名作ライトノベル紹介
[3] コラム 有害図書の判断基準
[4] 読者アンケート ※抽選で3名様にDBジャパンの索引をプレゼント!
[5] DBジャパン新刊&既刊information
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[1]  ライトノベルAtoZ 第二回「ライトノベルってワンパターン?」

棚に並ぶライトノベルをざっと見て、
「どれも同じように見える」ということはないでしょうか?

自分が詳しくない物事については、
外から見るとみんな一緒に見えがちで、
しかし実際中に入ってみると全然違う……
ということがあるようです。
ライトノベルでも同じことが起きているのでしょう。

90年代、異世界ファンタジーが全盛だった頃も、
骨太のSFや冒険小説風の作品などを見ることができました。

今でも、「小説家になろう」をはじめとする
ウェブサイト発の小説の世界も、
ゲーム風異世界転生ものばかりではありません。

異世界転移・転生ものでないファンタジーもよく見ますし、
ゼロ年代のケータイ小説の流れをくむ
青春ものなども大きな人気があります。

Vol.4でも紹介しましたが、
ライトノベルは非常に定義が難しいジャンルです。

逆に言えば非常に多種多様な作品を内包した
豊かなジャンルでもありますので、
自分好み・利用者好みの作品を探してみてくださいね。

(執筆:榎本事務所 榎本海月様)

[2]  名作ライトノベル紹介 

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第二回 上遠野浩平『ブギーポップ』シリーズ(電撃文庫)
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女子高生の間で語られる、奇妙な都市伝説があります。

ブギーポップと呼ばれるそれは、
「その人が一番美しい時に、それ以上醜くなる前に殺す」のだというのです。

その正体は、「世界の敵」が現れた時に
少女の中から自動的に浮かび上がる不思議な存在でした……。

Vol.4で紹介した『スレイヤーズ』を
90年代ゲーム風異世界ファンタジーの代表とするなら、
『ブギーポップ』は90年代中頃からゼロ年代にかけての
現代ファンタジーばやりの象徴といってよいでしょう。
今年になって再アニメ化されましたので、
ご存知の方も多いかもしれません。

青少年の繊細な心のあり方を丁寧に描きつつ、
一方で謎の組織「統和機構」や
そこで生み出された合成人間、
彼らが監視するMPLS(いわゆる超能力者)といった
ハッタリの効いた設定も相まって、
多くの読者の心を引きつけました。

全体を貫くスタイリッシュな雰囲気に憧れた読者も多く、
そこから次世代の書き手も次々と現れていったように思います。

各巻が比較的独立した構成になっており、
作品ごとの印象が結構違うのも注目ポイント。

個人的には予知能力者グループに起こった事件を描く
『パンドラ』がオススメです。

(執筆:榎本事務所 榎本海月様)

[3] コラム 有害図書の判断基準

図書館総合展のアンケートでも
「ライトノベルの選書が難しい」というご意見をいただきましたが、
学校図書館・公共図書館いずれもそういった難しさはあるようです。

また、「小説家になろう」「エブリスタ」などをはじめとした
ウェブサイト発のノベルも増えてきており、
読者としても、どこまでがライトノベルなのかを判断するのが
難しくなってきています。

ライトノベルの選書で大きな問題の一つが、
有害図書かどうかの判断基準です。

日本においては、具体的には性的・暴力的なシーンがあるかなどを
主眼に置いて選書されていると思います。

学校図書館では、その本を読んだ中・高校生が、
本来の該当書籍の目的とは違う部分で盛り上がってしまうかどうかが
一つの基準となるとも聞きます。

この基準だけで判断すれば、美術書であっても、
美術的な話題ではなく、性的な話題に挙がってしまう場合は、
裸婦像の写真が含まれるものは図書館の蔵書として
ふさわしくないことになってしまいます。

カタログに載っているから安心だろうと購入しても、
実物を見るとそうではないこともあるそうです。

先日、ニュースでスペインの有害図書について
触れられている記事を見かけました。

スペインの有害図書の判断基準は日本とは異なり、
性差別を想起させる表現の有無が重要とのことです。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5cde5eede4b00735a914260e

このように、有害図書の判断基準は国によっても異なりますし、
自治体によっても、人によっても異なることが明らかです。

実際に、ライトノベルの読者層は広く成人にも及んでいて、
時代小説を読み尽くした退職者の高齢男性層さえ含まれているのです。

図書館の選書は、図書館の専管事項で各々の図書館が独自に、
自律的に決めた基準で行なうことになっています。

その図書館の利用者の声やニーズを汲みながら、
常に「何が問題と考えられるか」を合理的に説明できることこそが、
実は選書作業の一番重要なポイントと言えそうです。

[4] 読者アンケート 
アンケートにご協力いただきました方の中から、
抽選で3名様にDBジャパンの既刊索引を1冊プレゼント! 
※当選された方には、メールでご連絡いたしますので、
その際に送り先のご住所をお知らせください。

Q1 “ヤングアダルト”層にオススメ(もしくは実際に読まれている)の
書籍を教えてください。

Q2 ヤングアダルトサービス関連イベントの企画運営方法でお困りのことを
ご記入ください。

Q3 ヤングアダルトサービス関連イベントの企画運営方法で工夫していることを
ご記入ください。

Q4 セミナーで講演を聞いてみたい方がいたら教えてください。

下記、応募フォームよりご応募ください。
▼▼▼
https://ya-current.com/magazine6inquery/

※6月17日(水)までを締め切りとさせていただきます。

[4] DBジャパン新刊&既刊案内

~既刊案内~

『テーマ・ジャンルからさがす 紙芝居1991-2015』
DBジャパン編 A5・408頁 2019.3刊行
定価(本体15,000円+税)
978-4-86140-048-3

交通安全のマナーを呼びかけられるような紙芝居を探している。
くまが出てくる紙芝居はどれ?
大人を対象にしたお話会の紙芝居が知りたい。
子どもの成長がテーマになっている紙芝居を知りたい…
そんな読者の要望を叶える、「テーマ・ジャンル」から引ける紙芝居の索引。
1991~2015年に日本で刊行された紙芝居1,568点を編纂。

その他既刊本はコチラから▼▼▼
http://www.db-japan.co.jp/info-cat/syoseki/

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YAカレント同好会のDBジャパン

DBジャパンが提唱するYAカレントとは、
その時期に、中学生・高校生によく読まれた
ポピュラーなYA書籍群を指します。

YAカレント同好会のウェブサイトへようこそ!

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最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
「リュディエ通信」次回は2019年6月25日(火)に配信予定です。

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配信停止をご希望の方は以下よりお手続きをお願いいたします。

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現在のYAサービスの継続を困難としてしまいかねない図書館の問題点とは

学校・公共図書館ともに、司書が外部への委託傾向にあり、地域における連携が取りづらいということがYAサービス継続を困難とする大きな要因だと考えます。

以前は、同じ区内の他図書館との職員同士の交流が多く、情報交換が盛んでしたが、今は、こういった地域の連携が薄い傾向にあります。

このセミナーでは、現在のYAサービスの継続を困難としてしまいかねない図書館の問題点の他、松岡氏が勤務時代から続く目黒区のYA向け広報誌をはじめとした、学校図書館・公共図書館におけるYAサービスの実例を豊富にご紹介いたします。

講師:日本図書館協会 元事務局長 松岡要講師

【松岡要講師 ご略歴】
1967年3月図書館短期大学卒。1967~1996年目黒区立図書館勤務。
1996~2012年社団法人日本図書館協会勤務、2003~2012年事務局長。

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