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YAカレント同好会 リュディエ通信 Vol.24
2020/11/25発行
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こんにちは。YAカレント同好会です。

YAカレント同好会が運営するメールマガジン「リュディエ通信」。

毎月25日にYAカレント同好会会員の皆さまに、
“ヤングアダルト”にまつわるお役立ち情報をお届けしています。

新型コロナウイルス感染症とともに、冬になり空気が乾燥すると
インフルエンザの感染も心配になりますね。
DBジャパンでは、てあらい・うがいをはじめとした
健康づくりにまつわるテーマを集めた絵本・紙芝居870作品の
リストを作成しています。是非お役立ていただけたら幸いです。

https://www.db-japan.co.jp/wp-content/uploads/2020/05/243253ab633ead9f323eb6e3014ec713.pdf

・・・・・・・・・・・・・・・・・・目次・・・・・・・・・・・・・・・
[1] ライトノベルAtoZ 第十一回「ライトノベルと文体」
[2] 名作ライトノベル紹介
[3] コラム「YAサービスの棚づくり」
[4] 第一回「未来の図書館に求められる役割を考える読書会」議事録ご提供のお知らせ
[5] 読者アンケート ※抽選で3名様にDBジャパンの索引をプレゼント!
[6] DBジャパン新刊information
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[1] ライトノベルAtoZ 第十一回「ライトノベルと文体」

ライトノベルの特徴といってもいろいろありますが、
中でもよく注目されるのが文体です。セリフが多めなのもそうですが、
一文が短く、一段落も短く、スピーディーに読める作品が多く見つかります。

結果として改行が多いので、ページの下半分が白い、
なんていうこともありますね。それを悪い意味で取る人もいますが、
読みやすさとして長所だと私は考えます。

この文体はいつ頃が始まりなのでしょうか。

多くの人の印象に残っているのはやはり1980年代終わり頃の、
神坂一『スレイヤーズ』でしょう。また、ほぼ同じ時期には
もともとアニメ業界で活動していたあかほりさとるが小説を書き始めていました。

この二人の作品をはじめとする作品群は先に紹介した特徴を明確に備えていて、
さらにオノマトペ(擬音語や擬態語)がふんだんに盛り込まれていました。

たとえば爆発音を「ドッカァァーン!」と擬音で表現する
そのスタイルは、マンガにおける擬音表現、
あるいはアニメやドラマなどの脚本の書き方を連想させます。
 
ただ、これらの文体が突然変異的に生まれたと思うのは、
おそらく早とちりです。大衆娯楽小説の中にはセリフで
どんどん進めていく作品がありましたし、1970年代後半から
SFで活躍した新井素子の非常に口語的な文体も大いに影響を与えたようです。
 
また、そもそもすべてのライトノベルが先に挙げたような、
いわゆる「文字で書かれた漫画」的文体を採用しているわけではありません。
より文学寄りの堅い文体の作品もいくらでもあります。
その多様さはライトノベルの味といえましょう。

(執筆:榎本事務所 榎本海月様)

[2] 名作ライトノベル紹介

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第十一回 五代ゆう『パラケルススの娘』(MF文庫J)
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時は19世紀末。退魔の血筋に生まれながら才薄く、
追放されるかのようにロンドンへ送り込まれた跡部遼太郎。

異邦の地で彼を待っていたのは銀髪のメイド少女と、
「パラケルススの娘」の異名で知られる
男装の魔術師クリスティーナ・モンフォーコンだった。

彼女の従僕として忙しなく働かされる中で、遼太郎は次々と怪事件に遭遇し、
ついには世界を揺るがすような大事に挑むことになる……。

本シリーズの主要キャラクターは、宿命を背負った少年と彼を導く美女、
主人公の前に次々現れるヒロインたち。彼ら彼女らが成長しつつ、
やがて明らかになる秘密・真相・大敵に挑むという展開で、
いかにもライトノベル的な筋書きで楽しめる作品です。

ヒロインたちの可愛さ(個人的には気位が高いツンデレ婚約者の
赤羽美弥子がお気に入りです)も印象的なのですが、
クリスティーナの凛々しさ、それでいて結構抜けていたり
雑だったりするところも記憶に残りました。

しかし、本シリーズの魅力はそれだけではありません。

19世期末のロンドンというのは実に混沌として面白い場所でして、
科学や技術が大いに発展する一方でオカルトブームも盛んであり、
いかがわしいもの、恐ろしいもの、魅惑的なものが
ロンドン名物の濃霧の中に潜んでいるのです。

さらにシリーズが進む中でキリスト教に隠された秘密まで出てきて、
歴史に興味のある人なら大変にワクワクして読むことができるはずです。

最近はフィクションの世界でも結構オカルトの人気が出てきまして、
その入門という意味でも本シリーズはとてもおすすめです。
ライトノベル的な魅力と、時代性・神秘性を深く感じさせてくれる
設定・演出の両方を楽しんでください。

[3] コラム「YAサービスの棚づくり」

中高生が公共図書館に来るきっかけづくりとして、手に取りやすかったり、
敷居の低い媒体を揃えるというのは、ひとつの方法かもしれません。

手に取りやすい媒体の一例として、「画集・写真集」が
身近で有益な資料といえそうです。

たとえばSNSでは、写真が中心のインスタが、人を知り、店を知る
大きな情報源になり、中高生でも気軽に扱えて自分のアイデンティティを
写真で表現することが関心事になっています。

学校図書館では、写真の撮り方についての書籍、写真集や画集も
よく見られているという話を耳にしますが、鑑賞や創作の基本には、
良作・秀作のインプットの積み重ねが間違いなくあります。

優れた作品群を載せた写真集を撮り揃えた、
「たくさんのカッコいい写真を見て、そのコツを知るコーナー」づくりも、
画集とその解釈論を平易に書いた書籍群のコーナーづくりも、
中高生の関心を集める優れたYAサービスにつながりそうです。

[4] 第一回「未来の図書館に求められる役割を考える読書会」
議事録ご提供のお知らせ

図書館における豊富な知見をお持ちのベテランの方々にご参加いただき、
各種課題図書を通じ、未来の図書館について考えるための読書会を開催しています。

今年2月に開催した第1回目は、元・文京区立真砂図書館館長の大橋直人様、
日本図書館協会学校図書館部会部会長・法政大学非常勤講師(2020年2月当時)の
高橋恵美子様、元・日本図書館協会事務局長であり弊社顧問の
松岡要様にご参加いただきました。

第1回目は新井紀子氏の著書『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』を
取り上げ、現在の子どもたちの読解力の低さの現状から、
図書館でサポートできること、司書教育の体制、読解力向上の重要性など
様々なご意見を伺いました。

“未来の図書館”を考えるにあたり、非常に有意義な内容である本読書会の
模様を議事録としてまとめましたので、ぜひ下記よりご請求いただければ幸いです。

「未来の図書館に求められる役割を考える読書会」を実施しています

[5] 読者アンケート
アンケートにご協力いただきました方の中から、
抽選で3名様にDBジャパンの既刊索引を1冊プレゼント!
※当選された方には、メールでご連絡いたしますので、
その際に送り先のご住所をお知らせください。

Q1 “ヤングアダルト”層にオススメ(もしくは実際に読まれている)の
書籍を教えてください。

Q2 ご自身のお仕事でのスキルアップのために、どのような勉強をされていますか。

Q3 ご自身のお仕事で、図書館業務において参考になった本を教えてください。

Q4 セミナーで講演を聞いてみたい内容があれば教えてください。

下記、応募フォームよりご応募ください。

▼▼▼

リュディエ通信vol.24 アンケート


※12月22日(火)までを締め切りとさせていただきます。

[6] DBジャパン新刊information
~新刊案内~

「テーマ・ジャンルからさがす物語・お話・乳幼児絵本2018」
A5・532頁 定価(本体22,000円+税)
ISBN: 978-4-86140-134-3
2020年11月刊行

「テーマ・ジャンルからさがす」絵本シリーズの新刊!
選書やレファレンス、テーマ展示、ブックトークなど用途に合わせて
絵本が選べる図書館レファレンスツール!

その他書籍情報はコチラから▼▼▼
https://www.db-japan.co.jp/books/

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YAカレント同好会のDBジャパン

DBジャパンが提唱するYAカレントとは、
その時期に、中学生・高校生によく読まれている
ポピュラーなYA書籍群を指します。

YAカレント同好会のウェブサイトへようこそ!

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最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
「リュディエ通信」次回は2020年12月25日(金)に配信予定です。

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発行元:YAカレント同好会(株式会社DBジャパン)
「リュディエ通信」編集部