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YAカレント同好会 リュディエ通信 Vol.68
2024/7/25発行
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こんにちは。YAカレント同好会です。

YAカレント同好会が運営するメールマガジン「リュディエ通信」。

毎月25日に、鮮度の高い“ヤングアダルト”の情報を
YAカレント同好会会員の皆様にお届けしています。

夏休みに入り、自主学習の時間が増える時期になりますね。
国際子ども図書館のホームページにある電子展示会
「中高生のための幕末・明治の日本の歴史事典」
https://www.kodomo.go.jp/yareki/index.html
では、貴重な資料や、人物の写真やエピソードなどが
デジタル画像とともに分かりやすく紹介されています。
本と組み合わせて閲覧することで、歴史分野の興味を広げ、
探究学習への活用にも大いに役立ちそうです。

・・・・・・・・・・・・・・目次・・・・・・・・・・・・・・
[1] ライトノベルAtoZ 第33回「ライトノベルと冒険者」
[2] 名作ライトノベル紹介
[3] 読者アンケート ※抽選で3名様にDBジャパンの索引をプレゼント!
[4] 司書トレ新着information
[5] DBジャパン新刊information
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[1] ライトノベルAtoZ 第33回「ライトノベルと冒険者」

ライトノベルはもともと境界的、つまりいろいろな小説や
エンタメのジャンルと距離が近いことで知られています。
このおかげで多様なエンタメの良さを取り込めるのですが、
一方で「こういう要素があるからライトノベル!」と断言するのが難しく、
定義決めの困難さにもつながっています。

さて、そんなライトノベルと近しい小説ジャンルの一つに、
「児童文庫」があります。いわゆる児童文学(幼少期向け小説)の中でも、
新書サイズで手に取りやすく、手軽にいろいろな作品を
読めることで古くから親しまれてきました。
「講談社青い鳥文庫」などがその代表格でしょう。

この児童文庫がずいぶん前から、方向性的に
ライトノベルへかなり寄ってきたのをご存知でしょうか。
かつては児童文学の伝統性、そして文学性(テーマ性、メッセージ性)が
重視されていたのですが、角川つばさ文庫(2009年創刊)や
集英社みらい文庫(2011年創刊)の登場をきっかけに、
全体的にエンタメ性が重視されるようになりました。

わかりやすいのはその表紙です。
書店で児童文庫のコーナーへ足を運びますと、
その表紙がほとんど全面的にライトノベル・漫画風の
イラストに塗り変わっていることに気づくことでしょう。

他にも、アニメや漫画のノベライズが目立ったり、
「デスゲーム」のような近年流行りのエンタメ要素が
貪欲に受け入れられているあたりも、
児童文庫が「子どものための教養読み物」から
「楽しいエンタメ」へシフトしていった、つまり
ライトノベルに近づいていった証拠ではないかな、と考えられます。

人気シリーズならどんどん続刊が続いていくあたりも
ライトノベルに近いものを覚えますが、
これは「ライトノベル化」以前からの傾向であるようです。

このように、児童文庫がいわば「幼少期向けのライトノベル」
ともいうべき位置付けになった背景には、
「朝の読書時間に読める楽しい本」「漫画が苦手だったり
親が許してくれない子どもが読める本」を
求めるニーズがあるのではないでしょうか。

実際、児童文庫はライトノベルに似ている……と言いつつも、
文章はより平易で分かりやすく、物語としてのボリュームも
ライトで、まだライトノベルが読めない読者でも
大丈夫なように書かれているのです。

(執筆:榎本事務所 榎本海月様)

[2] 名作ライトノベル紹介

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第33回 深沢美潮『フォーチュン・クエスト』(角川スニーカー文庫、電撃文庫)
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とある剣と魔法のファンタジー世界のあちこちに、
冒険者と呼ばれる人々がいる。彼や彼女らの繰り広げる冒険は、
世界の命運をかけるような壮大なものから、
人助けのようなささやかなものまで、実にさまざま。

シリーズの主人公、冒険者の少女パステルと仲間たちの冒険は、
どちらかといえば「ささやか」の方だ。
そもそも、仲間たちの冒険者としての職業が英雄的とは言い難い。
パステルの「詩人兼マッパー(地図作成者)」は
つまり「自分たちの冒険を物語にしてお金の足しにしながら、
ダンジョンに潜った時には地図を描く」という仕事で、
そこに「方向音痴だからマッパーとしての仕事は
上出来とはいいがたい」というケチがつく。

他の仲間も、記憶喪失の「農夫」あり、
力は強いけれど戦士ではなく「運送業」の大男あり、
「盗賊」だけれどお調子者の派手好きあり、
「戦士」なのに着ている鎧は竹製のリーダーあり、
そして強い魔力を持ったエルフの「魔法使い」は
幼女で呪文も満足に唱えられない有り様。

そんなデコボコ冒険者パーティーが、ある時はダンジョンに挑戦したり、
またある時はメンバー一人のピンチから大事件に首を突っ込んだり。
英雄伝説にはなかなかならないけれど必死に生きていく、
青春ものの雰囲気も色濃いファンタジー冒険小説。

最初のシリーズに始まり、『新フォーチュンクエスト』
『新フォーチュンクエストII』と数十年に渡って展開した
長期シリーズがついに完結したばかりの有名作品なので、
何かの形で目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

昔からずっと続いていたシリーズということもあって、
今回のAtoZの連載でも紹介した児童文学・児童文庫的な、
古き良き青春もの・冒険ものの匂いがある作品です。
それでいて、冒険者たちがみんなパラメーターの書かれた
「冒険者カード」を持っていて、モンスターを倒して
経験値が貯まるとレベルアップして……という世界観は、
今時の「なろう系」ライトノベルにも通じるゲームっぽさもあり、
幅広い読者にお勧めできます。

(執筆:榎本事務所 榎本海月様)

[3] 読者アンケート

アンケートにご協力いただきました方の中から、
抽選で3名様にDBジャパンの既刊索引を1冊プレゼント!
※当選された方には、メールでご連絡いたしますので、
その際に送り先のご住所をお知らせください。

Q1 “ヤングアダルト”層にオススメ(もしくは実際に読まれている)の
書籍を教えてください。

Q2 ヤングアダルト向けの選書で参考にされている
情報媒体等を教えてください。

Q3 利用者向けの展示やイベントや工夫されていることを教えてください。

Q4 ご自身のお仕事や、それ以外のことでも
学び直ししたいことがあれば教えてください。

以下、応募フォームよりご応募ください。

▼▼▼

リュディエ通信vol.68 アンケート


※8月18日(日)までを締め切りとさせていただきます。

[4] 司書トレ新着information
「読み聞かせの基礎」(児童・絵本図書館)、
「地域資料サービスの実践(前編)(後編)」(公共図書館)を
新たに追加しました!

★「読み聞かせの基礎」内容紹介
子どもに読み聞かせをする前に知っておくと良い、
絵本のことや読み聞かせの意義を解説する。
読み聞かせ技術向上の方法と選書のための
絵本の評価ポイントも参考メディアを交えて紹介する。

読み聞かせの基礎 内川育子

★「地域資料サービスの実践(前編)(後編)」内容紹介
地域で発生するすべての資料および地域に関する
すべての資料を収集・組織化し利用に供するとともに、
収集した資料を活かして情報発信し、
利用者の知的欲求の追及と課題解決を支援するために
必要な考え方やその実践のあり方を紹介する。

前編

地域資料サービスの実践 前編 蛭田廣一

後編

地域資料サービスの実践 後編 蛭田廣一

[5] DBジャパン新刊information

~新刊案内~
『蛭田先生。地域資料は集めるだけじゃダメってどういうことですか?
〜ストーリーでわかる地域資料サービスの考え方〜』
A5・168頁 定価2,750円(本体2,500円+税10%)
ISBN: 978-4-86140-505-1
2024年6月刊行

図書館業務に役立つ“考え方”が各テーマのエキスパートから、
物語を通して学べるシリーズ。
第4弾は、初めて地域資料を担当する主人公が、
利用者の「知りたい」を満たすための地域資料サービスの実現に向け、
蛭田先生と出会い「地域資料をどのように集めるのか、
そしてその資料を利用してもらうことの重要さ」
の考え方を基礎から学んでいく物語です。

その他書籍情報はコチラから▼▼▼
https://www.db-japan.co.jp/books/

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YAカレント同好会のDBジャパン

DBジャパンが提唱するYAカレントとは、
その時期に、中学生・高校生によく読まれている
ポピュラーなYA書籍群を指します。

YAカレント同好会のウェブサイトへようこそ!

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最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
「リュディエ通信」次回は2024年8月25日(日)に配信予定です。

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発行元:YAカレント同好会(株式会社DBジャパン)
「リュディエ通信」編集部